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【Blog:アイゼンボーグ開発日誌】

2021-12-06/0/3
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2021年12月23日発売、新作アメコミ「恐竜大戦争アイゼンボーグ:恐竜軍団編」。

本作を仕上げるまでにあった様々な苦労を、ここでしか読めないマット・フランク氏&金谷裕氏のインタビューを交えて紹介していきます。

なぜ、コミック「アイゼンボーグ」が生まれたのか?その謎に迫ります!

 

そもそも「恐竜大戦争アイゼンボーグ」とは?

1977年~78年に、「ウルトラマン」等の特撮作品で有名な円谷プロが制作した特撮番組です。

前年に制作された「恐竜探検隊ボーンフリー」後番組の「恐竜戦隊コセイドン」と合わせて、円谷恐竜三部作と呼ばれるシリーズの二作目。

ミニチュア特撮とセルアニメを融合させた「ボーンフリー」の流れを汲んだ本作も、同じく実写パートとアニメパートという2つの構成が1つの画面の中に混在するというかなり珍しい作品でした。

超能力を身に着けた恐竜軍団の地上侵攻に対し、正義のD戦隊が戦闘メカ「アイゼンボーグ号」を駆り立ち上がる!という物語でしたが、中盤から巨大ヒーローアイゼンボーが登場したり、恐竜がメカ怪獣に改造されたり、敵のボスが「UFO」に合わせて踊りだすなどコミカルな描写が増えたり…要するにテコ…色々な路線を追求した面白い意欲作だったのです。

※ちなみに「恐竜大戦争アイゼンボーグ」はTSUBURAYA IMAGINATIONにて独占配信中!プレミアム会員であればご視聴可能です。

 

そんな「アイゼンボーグ」は日本国内でも人気だったのですが、なんと中東でも大人気。なんでもアイゼンボーやアイゼンボーグマンの赤と緑というカラーがUAE(アラブ首長国連邦)の国旗カラーだったから…なんていう理由があるみたいです。

でも驚くのはそれだけでありません。2016年にサウジアラビアと円谷プロの協力で、当時の関係者のインタビュー&アイゼンボーの新撮映像を盛り込んだ新作映像「帰ってきたアイゼンボーグ」(←円谷公式Youtubeチャンネルで配信中のページに飛びます。)を作ってしまうなど、40年以上前の作品とは思えないぐらい中東では支持されているようです。

この新作映像で新造された恐竜帝王ウルルが「ウルトラマンタイガ」のラスボス怪獣・ウーラーとなり、さらに「ウルトラマントリガー」のメツオーガに改造されたという話も…現行の円谷作品とも関係していると思うと、なんだか不思議な因果ですね。

 

さて、アイゼンボーグ自体の説明はこのくらいにして、とにかく今回のコミック版「恐竜大戦争アイゼンボーグ:恐竜軍団編」にどれだけ気合が入っているかということを知ってもらいたい!という一心でインタビュー記事も作っちゃいました。

 

①そもそものきっかけ

そもそも何故、アイゼンボーグを復活させようと思ったのでしょうか?

金谷裕(以下、金谷):「アイゼンボーグ」をコミックでやろう、と提案したのは僕からでした。恐竜はアメリカで多くのファンに受け入れられるし、アニメと特撮の融合だからコラボできるんじゃないかと。

マット・フランク(以下、マット):最初はただの楽しいアイデアでした。私も漫画を描きたいと思っていましたが、”特撮 “と “アニメ”の2つの画風を作らなければならないような気がしていました。

そこで思いついたのが、他のアーティスト、特に金谷さんとのコラボレーションでした。金谷さんとは、シカゴのG-Festで出会いました。金谷さんの作風は特撮によく似ていて、僕の作風を引き立ててくれます。

最初は正直、ミラーマンかアンドロメロスなどであればもっと通りやすいのかなと考えていました。でも驚いたことに、藤田さん(円谷プロダクション担当の方)がアイゼンボーグの企画を気に入ってくれました。

フェーズシックス代表、アンドリュー・ホール:我々フェーズシックス出版とマットが考える点として大きいのは、「どのシリーズ」というよりもシリーズをコミカライズする際のコンセプトです。レッドマンが「コズミックホラーのサイレントコミック」だとしたら、アイゼンボーグのアメコミは「2人異なるタッチを持つアーティストが原作の実写・アニメパートのバランスを再現する」といったアイデアから生まれました。

 

レッドマン」も正直かなり挑戦的だったのですが、今回はさらに2人の作家のコラボレーションで描く、というのが物凄く挑戦的だったなと思います。原作の特撮ドラマの時点で非情に面白い絵作りをしているんですけど、極力原作の持つ面白さをコミックで表現したかったですからね。

え、レッドマンってホラーなの??という方、アメコミ「レッドマン」1~3巻好評発売中です。

 

②描きはじめてからの作業

コミック化にあたり、1つの画の中に実写とアニメ…2つの絵柄を共存させるため、マット氏担当のパートと金谷氏担当のパートを、ネーム段階から分けておく必要がありました。

マット氏パートと金谷氏パート、そして擬音を全て別のレイヤーとして分けて1つのパートに収める、という複雑な工程を踏み、ようやくコミックのページが完成します。おそらくここまで複雑な作りをしたコミックは、日本国内外でもなかなかないんじゃないでしょうか。

↑ページの作画内容の一例。複雑な工程を踏んでいることがわかります。協力イラストなどではよくある手法ですが、本作ではすべてのページにこのような手間がかかっています…

 

実際に描き、着色を行ってみると、当然それなりの箇所で修正の必要が出てくるわけですが…ここで上記の絵作りの弊害が。

今度はマット氏と金谷氏にそれぞれ修正をお願いし、統合しなくてはならないという…編集が複雑なら、リテイクもまた複雑な作業となりました。そして、その修正の反映を確認する作業も当然、見落としがないように何度も何度も行う必要があり…

そうした神経をすり減らす作業と、円谷プロ様の監修によってようやくアイゼンボーグというコミックが完成したのです。

この修正確認作業が一番手間の掛かるところでした…だんだん確認箇所がサブリミナル効果で視界に焼き付いてきます。

 

③忘れない、遊び心

制作において大変なところばかりをつらつらとあげてきましたが、しっかりと「遊び」を盛り込んだ面白いギミックも盛り込んでます。

フェーズシックスのデザイナー、古本がマット・フランクのイラストを使った遊び心ある「恐竜図鑑」を編集。巻末に掲載しています!

昔懐かしい怪獣図鑑をイメージした図解。マット氏の元デザインも学術図鑑的な形式になっておりますので、海外版発売の際にはそちらを収録したいと考えております!

「て〇びくん」の記事とか昔の子供向けムック本とかで、しょっちゅう目にした子供たちも多いのではないでしょうか。今もこういう記事ってあるんですかね?ニュージェネウルトラマンの怪獣とか

↑図鑑はもう1ページ収録。全容はコミックにて公開!

 

さらに、「宇宙船別冊 電光超人グリッドマン」「トランスフォーマージェネレーション2021」などを制作されているサブカルチャー界の雄、株式会社タルカス様に巻末の「恐竜大戦争アイゼンボーグ」解説を書き下ろしていただきました。

単なる原作の紹介にとどまらず、面白い豆知識なども盛り込まれております。つまり、原作を全く知らない人が本コミックを読んでも、楽しめるということ!

そもそもどんな作品なのかも知らないという方でも、面白さを味わっていただける作りになっております。

Youtubeで無料配信中の「帰ってきたアイゼンボーグ」も、わかりやすいのでオススメです。

 

↑コミックでは「恐竜大戦争アイゼンボーグ」の歴史についても紹介!

 

④苦労したこと

実際に作画を行ってみて大変だったことはなんだったのか、金谷氏とマット氏に伺ってみました。

金谷:メカの詳細の確認です。写真やネットではよくわからないので、DVDで画面を止めて確認しました。

マット:一番難しかった(注力した)のは、実は文章を書くことでした。同じストーリーを、コミックというメディアの制約の中で、どうやって少し違った形で伝えるかを考えなければなりませんでした。そして、企画の初期段階でストーリーが自然に流れるようにすることが課題でした。うまくいったと思いますよ。

 

⑤今後の展望

本作の作業を終えた二人は、今後どのような作品に携わりたいと思っているのでしょうか。

金谷:特撮作品。円谷プロダクション、東宝、東映、ピー・プロダクション作品など。マットとは二人でボーン・フリーをやりたいねと話し合っています。

マット:今後、書いてみたい、展開してみたいプロジェクトはたくさんあります。円谷さんのキャラクターでは、実際のウルトラマンの話を書いてみたいですね。また、グリッドマンやアンドロ・メロスなどのアイデアもあります。他にも「ボーンフリー」や「コセイドン」などの恐竜三部作も、面白い可能性を秘めていますよ。

 

もちろん、フェーズシックスとしては来年に日本語版発売予定のピー・プロダクション作品アンソロジー「スペクトルマン ヒーローズ」にて、また金谷氏とマット氏に強力タッグを組んでいただくことが確定してますし、新しい取り組みも積極的に行っていきたいところ。

より多くの日本のファンにお二方を知って頂き、新作を出したときに「あの」マット・フランク、「あの」金谷裕、と言って頂けるようにしていきたいと考えています。

…というわけで、「スペクトルマン ヒーローズ」の方もお楽しみに!こちらも同じくらい力を入れております!

 

⑥日本のファンに一言!

金谷:マット共々楽しんで頂けることを願っています。そしてもし気に入って頂けたら、是非続編を(出来れば円谷プロ様に)リクエストしてみて下さい。

マット:私はオリジナルの番組に大きな愛情を持っていますが、コミックとしての意味を持たせるためにストーリーを多少変更しました。ファンの皆さんには、この変更を単なる解釈の違いとして受け入れていただけたら幸いです。私たちは最高のストーリーを作るために一生懸命努力しましたので、どうぞお楽しみください。

 

新しいアイデアと、多くの苦労で完成した「恐竜大戦争アイゼンボーグ:恐竜軍団編」。4種類の表紙が12/23ついに発売開始!

通常版は一般書店で、限定版はコミックショップやAmazonで。円谷限定版はTSUBURAYA STORE ONLINEにて発売。

さらに墓場の画廊で開催される「ウルトラマン55周年記念POPUP in 墓場の画廊」(イベント情報はこちら)、及び墓場の画廊ONLINEにて画廊限定版を発売!

ぜひ、お楽しみに!

 

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