2022年3月16日、新作コミック
「ゴジラ クラシックコレクション’95」
1巻発売!
アメコミのゴジラ、新章突入!…というところですが、「アメコミのゴジラ、どれから読めばいいの?」「どの作品が繋がってるの?」「そもそもゴジラのアメコミなんて出てるの?」といった質問がよく見受けられます。
うちのコミックの魅力をもっと伝えたい!と感じ、今回は弊社「ゴジラ」シリーズの歴史・新作の見どころなどをお伝えしていこうと思います。
ゴジラアメコミの歴史① ゴジラVSアベンジャーズ!?(MARVEL期)
ゴジラには長い歴史がありますが、実はアメコミにおけるゴジラの歴史というのも十分に長いものです。
最初にゴジラがコミックとしてアメリカで展開されたのは1976年、「ゴジラVSメガロ」のプロモーションのために新聞に掲載されたミニコミックだったと言われています。
ゴジラ、メガロ、そしてジェットジャガーが描かれたこのコミックでは、まだ英語版でのキャラクター名が固まっていなかったのか、はたまた誤植なのか…ジェットジャガーは「ロボットマン」、ガイガンは「ボロダン」という名前で描かれていたということです。今では考えられないことですが、これもまた時代を感じますね。
その次にゴジラに興味を示したのはなんと、あのMARVELコミックス。
MARVEL社はゴジラのコミック「Godzilla: King of the Monsters」を1977年から79年に渡り24話製作しました。なんとこのシリーズでは、アイアンマンやソー、ヴィジョンといったアベンジャーズと共演。ファンタスティック・フォーやスパイダーマンとも面識があるというのですから、これはもう立派なマーベル・ユニバースの一員と言えるでしょう。
S.H.I.E.L.D.が作り上げたかの有名なサムライ・ロボット兵器、レッド・ローニンが初登場したのも、このシリーズですね。
こちらのシリーズでもオリジナルの怪獣が出現したり、ゴジラと人類の共感が描かれるなど、なかなか見所のある内容となっています。
↑MARVEL版のゴジラの表紙。
さらにその後、日本のグレートマジンガーや闘将ダイモス、勇者ライディーンなどの超合金おもちゃシリーズの海外展開、「Shogun Warriors」にも玩具が取り入れられています。
ゴジラアメコミの歴史② 日本のゴジラ休止、そして…(ダークホース期)
さて、MARVELの次にコミックを描いたのは我らがダークホースコミックス。弊社で翻訳している「エイリアン」「プレデター」などのアメコミの原語版で有名ですね。こちらが今回発売するシリーズ「ゴジラ クラシックコレクション’95」の大本となります。
ダークホースがゴジラのアメコミを出版し始めたのは、1987年。「クラシックコレクション’95」の前日譚である「Godzilla: King of Monsters Special」でした。
88~89年の間に発売していたのは日本のゴジラ漫画の英訳版であったので、「~KoM special」がダークホース初のオリジナル・ゴジラコミックと言えます。
こちらは白黒で描かれ、ゴジラのほかに亀のようなカメラス、ラドンとは異なる翼竜ソラン、イナゴ怪獣イナゴス(なぜかイナゴというよりセミの幼虫に近い姿)が一瞬だけ出現。この内容が1992年にカラー化され、93年にはNIKEとゴジラのコラボ「ゴジラVSバークレー」が描かれました。
こちらは有名なバスケットボール選手のチャールズ・バークレー選手とゴジラがバスケ対決!!という衝撃のCMをコミック化したもの。大本のCMでは特撮技術をふんだんに使用した豪華なものとなっております。
内容としては、巨大なバークレー氏がビル街に出現、対するゴジラもサングラスをかけてやる気満々。1on1対決の後に、肩を組んで仲良く去っていく…という衝撃の内容となっております。
試合を終えたバークレー氏の「靴を履こうと思ったことない?」という台詞がなんともコラボらしいではありませんか。
当時はコミックの翻訳版が雑誌に掲載されたこともあったようなので、ご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
↑ゴジラVSチャールズ・バークレーという衝撃のコミック。
そして満を持して1995年、「ゴジラ クラシックコレクション’95」シリーズの大本となる「Godzila: King of the Monsters」が開始されました。ちょうど本家本元のゴジラシリーズが1995年の「ゴジラVSデストロイア」で一度休止となり、日本のゴジラ不在期から98年のハリウッド版「Godzilla」の間に展開された形になります。
2巻以降のネタバレにもなってしまうので深くは言えませんが…色々と予想外の展開が待ち受けています!
↑ゴジラとバゴラの対決が描かれた、今回の通常版カバー。
ゴジラアメコミの歴史③ ゴジラの現在、モンスターバースの出現(~IDW期)
ほかにもトレンドマスター社が有名な、アーマーを身に纏ったゴジラなどの玩具シリーズを発売。その中でミニコミックシリーズを描いています。
その次にまとまったシリーズを出したのは、Fox Kids Magazine。これは98年のハリウッド版「Godzilla」の続編となるアニメシリーズのコミックで、アニメオリジナルの怪獣などの新たなエピソードが2編ほど出ているようですが…残念ながら公開されたのはWebコミックとしてのみ。現在ではサイトも存在しないので、文字通り幻の作品となってしまったようです。
ハリウッド版のアニメシリーズも当時書籍などで紹介されており、人間を親と認識して戦う正義の怪獣…という日本のシリーズにはない魅力があったようです。
日本語版、見たかったなあ…
そして時は流れて2010年。今度は「トランスフォーマー」コミックシリーズでお馴染みIDWパブリッシングが「Godzilla: Kingdom of Monsters」や、弊社も邦訳版を出している「Godzilla: Rulers of Earth」などのシリーズを多数出版。イラストレーションとして「キャプテン・マーベル」や「エイリアン」を描いたジェームズ・ストコーや、もはや弊社ではお馴染みマット・フランク、さらにはダークホース社のシリーズ表紙を描いたボブ・エグルトンといった多くの作家が参加しています。
IDWがMARVELやダークホースと異なったのは、ゴジラのみならず他の東宝怪獣たちをコミックに使用する権利を得たことです。これによりサンダやガイラをはじめとする、ゴジラ本家に登場していない怪獣がゴジラと遭遇したり、アンギラスがデストロイアに立ち向かうといったより広い世界観を創造していくことが可能になったのです。
↑脇役怪獣たちにフィーチャーした「ゴジラ レジェンズ」や、東宝怪獣大集合の「ゴジラ ルーラーズ・オブ・アース」もこのキャラクター使用権のおかげで生まれた作品といえます。
そして2014年、今度はレジェンダリー社の映画「ゴジラ」(所謂「ギャレゴジ」)をはじめとする「モンスターバース」シリーズ開始とともに、レジェンダリーコミックスが映画の前日譚や幕間のコミックを出版。こちらも、映画では設定のみ言及されていたオリジナル怪獣たちも登場するシリーズとなっております。
IDWが「東宝怪獣たちの新たな物語を作る」のに対し、レジェンダリーは「ゴジラの新たな世界観を映画ごと作り上げる」といった、非常にスケールの大きな企画となっているのが特徴でしょうか。
弊社では、IDWのコミックシリーズを今後も継続して出していく予定です。まだまだ邦訳できていない名作も多数ございますので、どうぞご期待下さい。
さて、長くなりましたので今回はここまで。次回は「フェーズシックスのコミック、どこから読むべき?」です!