1/31、アメコミ「ミュータントタートルズ クラシックコレクション 2」発売!
意外とみんな知らない、バイオレンスでハードボイルドな「最初」のタートルズ。超展開が続く2巻まで刊行できて嬉しい限りです!
今回の舞台は宇宙。「スター・ウォーズ」のモス・アイズリーを思わせるバーで情報収集したり、闘技場でのバトル…あくまで地球での戦いだった1巻とはまた異なった雰囲気を楽しんで頂けるかと思います。
さて今回はなぜブログを書いたかというと、今回登場する新キャラ、「フュージトイド(ハニーカット博士)」と「トリケラトン」について、実は知られざる歴史があったという事をお伝えしたいからです。
単に今回出てくる新キャラじゃないの?という方、実は違うんです。そこにはタートルズを生み出したミラージュ・スタジオの歴史が深く関係しているのです…
さらにファンなら真っ先にクランゲという名前が出てくるであろう「ユートロム星人」についても軽く触れる内容となっております。
①ミラージュ・スタジオとは?
1983年、2人の若き作家、ケビン・イーストマンとピーター・レアードが出会い、スタジオを設立します。
スタジオの名前は「ミラージュ・スタジオ」。借りていた家のリビングをオフィス代わり、即ち存在しないミラージュ(虚像)として設立された事務所でありました。
そんなマイナーな事務所でしたが、2人は非常に創作意欲に溢れていました。ケビン・イーストマンはある日お遊びで、鈍重そうな亀が素早いニンジャとして活躍する、というスケッチを描いたのです。そのアイデアが大きく膨らみ、後に世界的に大人気となる「ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ」という盛り盛りに盛った濃いキャラクターたちが生み出されたのです。(※この辺りは「ミュータントタートルズ クラシックコレクション1」巻末コラムに詳しく載っております!)
↑イーストマン&レアードが最初にスケッチした「ニンジャ・タートル」のラフ。この時点ではまだ首も長く、亀らしさが強い。
しかし、タートルズがデビューしたのは1984年。オフィス設立は1983年。タートルズが彼らのデビュー作だったのでしょうか?
違います。
実はタートルズより以前に生み出された者たちがいました。それこそが、トリケラトンとフュージトイドだったのです。
②フュージトイドと、タートルズの関係
今回タートルズたちとともに活躍するのがこの「フュージトイド(逃亡機)」ことハニーカット博士(アニメ版では教授)です。
彼は元々はアインシュタインを思わせる人間の天才科学者でしたが、ある日実験中にお手伝いロボットSALの体に精神が転送されてしまい、自分の肉体は亡くなってしまいます。その後、その頭脳を狙った軍により、不正な動作をした機体=逃亡機(フュージトイド)として追われることになります。
…さて、このハニーカット博士、今作が初登場なのでしょうか?
実は違うんです。なんと彼のデビューはタートルズより先!そしてさらに驚くべきことに「Fugitoid」という単独のコミックを持っていたのです!
2003年(日本では2007年)のシリーズや、近年のスマホゲーム「Teenage Mutant Ninja Turtles: Legends」でも登場しているため、隠れファンも多いのではないでしょうか。
愛嬌のある見た目と、感情豊かなところがかわいらしい、本作イチオシのキャラと言えます。
…いつか「Fugitoid」単独のストーリーも今後のタートルズに収録できたらいいな…と考えています。またいずれ…
③トリケラトンは看板キャラだった!?
さて、話をトリケラトンに移します。
このロゴ、なんだかわかりますか?
実はこのロゴ、ミラージュ・スタジオのロゴマークなのです。デザインは1983年!
コミックに登場するトリケラトンは皆、より凶悪な面構えになっていますがこのロゴのトリケラトンはつぶらな瞳でペンを持っている、という、かなりゆるキャラ寄りの造形になっています。
当然83年ということは、タートルズやフュージトイドより先輩。個人的には、コミックにも引き継がれている、「宇宙服のヘルメットから突き出した角」という部分が非常に面白いデザインだなと感じます。そうでなくとも、トリケラトプス型宇宙人というのがそもそも珍しいですが。
2003年(日本では2007年)に放送されたアニメシリーズではコミック原作者であるミラージュ・スタジオの意向が反映されており、割と「クラシックコレクション」シリーズに忠実な形に作られているのが見て取れます。
トリケラトンやユートロム、フュージトイドも本作に近い設定で描かれていますが、本作で1コマ程しか出ていない狂暴な怪物スパスモサウルスとタートルズが戦うなどいくつか変更も加えられています。この違いも調べてみるとなかなか興味深いですね。
④クランゲ?いいえ、ユートロム星人です
今回登場するキャラその3、ユートロム星人。1巻の終盤でも衝撃の登場を果たした存在です。
過去のアニメシリーズをご存知の方としては、クランゲという名前と独特な口調が一番印象深いのではないでしょうか。
本作では、「クランゲ」という個体名は出てきません。最初のアニメでは惑星ディメンションXの支配者で、追放された際に脳みそのような形になってしまい、パワードスーツを着込んでいるという設定でした。しかしおそらくこのクランゲの元になったと思われるユートロム星人については、最初からこのような形の生き物です。
この作品ではクランゲ=ユートロム星人かというところは正直、微妙…といいますか、何も言及されていない形にはなりますが、2012年のコミックシリーズなどではユートロム星人の中のクランゲ、という形に整理されています。
本作のユートロム星人は、世界征服を企むクランゲのイメージを知る人たちからすると意外な立ち位置に思われるかもしれません。このように、各キャラクターの見知った姿と、そのオリジンである「クラシックコレクション」の姿を見比べて頂くというのも面白い読み方なのではないでしょうか。
などと、色々語ってしまいましたが実はこの辺りの話は、「ミュータントタートルズ クラシックコレクション2」巻末コラムにより詳しく載っております!一旦、今回は軽いお話で締めさせて頂きます。
衝撃に次ぐ衝撃の展開、さらにスケールアップした「ミュータントタートルズ」初期コミックの第二巻、いよいよ発売です!
今回もヴィレッジヴァンガード様にてステッカー配布予定ですので、是非ヴィレヴァン様でお求め下さい!
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ハニーカット博士とユートロム星人の部分は諸事情あって残念ながらカットが入っていないですが…お好きな方は是非切り抜いて使ってみて下さい!
ハニーカットグッズ、意外とかなり少ないのではないでしょうか。